京都駅からバスで30分ほど。「ここは駅前とはちょっと違います」という空気が漂う。緑に囲まれた立派なお寺がみえると、それが<大報恩寺>です。
何しろ駅前の人の多さに辟易し、息抜きを渇望していたトコロだからすんなり入らせていただきました。
京都最古の木造建築である本殿のなかで開催されている「おかめ人形展」など、「すごい!」と驚かされることの連続。
そんな由緒あるお寺なのですが、あまり知られていないのか、人が少なくてのんびりと過ごすことができます。わたしはすっかりこの空間の虜になってしまいました。
大報恩寺(千本釈迦堂)とは

京都市上京区にある「大法恩寺」は、鎌倉時代(1227)に開創された、長い歴史をもつお寺。現在では「千本釈迦堂」とも呼ばれています。

その本堂は、京都最古の木造建造物として国宝に指定されています。
10年も続く「応仁の乱」や「明徳の乱」などのいくつもの戦火も免れたのだとか。
「おかめ」発祥の地でもあり、“縁結び”“夫婦円満”“子授け”にご利益があるといわれています。
そんな大報恩寺の個人的なみどころをピックアップしてみました。
見どころ①春に見たい!立派なオカメザクラ

駅前の騒音から少し離れ、住宅街を歩いていると立派な山門が現れます。
そこをくぐった先には、大きな大きな枝垂れ桜がみえます。

地面につきそうなほど垂れ下がっていますね。
桜の花が咲き乱れる姿はきっととても美しいでしょう。

境内は大きな樹木に囲まれていて、静かでのどか。
自然を謳歌しながらの散歩は気分爽快となるからお疲れの折にはぜひお立ちよりをオススメします。
見どころ②重要文化財が眠る宝庫は必見

拝観料600円を払うと、本堂とその隣にある「霊宝殿」という建物に入ることができます。

「霊宝殿」には重要文化財に指定されている仏像などがズラリと並んでいます。
「霊宝殿」内にあるもの

- 7mある太鼓の飾り
- 六観音菩薩像
- 千手観音像
- 釈迦の銅像
- 釈迦十大弟子立像
などなど。異界みたいで、印象的な場所でした。
絵巻などもありましたが、やっぱり迫力あるのは仏像ですね。
なかでも「六観音菩薩像」は圧巻です。六観音菩薩像は「六道信仰」という仏教の教えとともに各地で造物されましたが、6体すべてそろっているのはココのみで、非常に貴重なものだそうです。
頭のうえに馬がのっていたり、顔が11個あったり、手が18本あったりと、1体ずつに個性があって面白いです。
個性と言えば、「釈迦十大弟子立像」も「こういう顔のヒト、いるいる!」という実在感でした。
現実感あふれる表情や筋肉に、空気のはらんだ衣服の流れなど、細部にわたって目を見張るほどの技術。
金箔がはがれて、少しくすんでいるのも、より雰囲気を漂わせています。
写真撮影NGなのが残念ですが、あの迫力は直接見てみないと伝わらないです。
たまに美術館にも出展しているそうですが、現地で見れたことに感謝です。美術館で見るのもいいけれど、お寺で見ることに意義があると思うのです。
見どころ③本堂の「おかめ人形展」
お次は本堂へ。



大報恩寺のご本尊である仏像は、年に数回の開帳以外は扉が閉ざされていてお目にかかれませんでした。

その代わり(?)におかめ人形展を見ることができます。

全国から奉納された、おかめの置き物。

なぜこんなにもおかめさんが集められたのか?というと、亡くなったおかめさんの徳を称え、供養するためだそうです。
なんでも本堂を建立するときに工事を請け負っていた大工さんが、誤って大切な柱を一本切ってしまったそうだ。悩み苦しんでいたその大工さんにアドバイスをして、無事に建立に導いたのが妻の「おかめさん」。
しかし当時は、女性が男性に助言するなどあってはならないといわれていた時代。
「(建築のプロでもない)女性のアドバイスで大工事を成し遂げたと周囲に知られれば、夫の名誉を汚し、信用も失うことになる」と考えたおかめさんは夫のために自害をしてしまうのです。うげ~。

「他人のために命を投げだす」なんて、称えられる行動ではありません。
しかし、そうでもしないと身の安全を守り、温かい居場所を確保し、食料を確保することが難しい時代だったのでしょうね。それで「もう、いっそのこと極楽浄土にいってしまおう」と。

「おかめさん」のやわらかな笑顔の裏には、そんな悲しい過去があったなんて知りませんでした。

こんなに素敵なお寺は、おかめというひとりの女性のアドバイスによって完成することができた、という事実をすこしでも多くの人に知ってもらいたいですね。そうすることがイチバンの供養になると思います。
それにしても、この旦那さんは「実は柱を切っちゃって。でも俺の奥さんがネ……」ときちんと弁明したからまだいい。しかもそのあとちゃんと石像とか飾ってるし。
「俺のために死ぬなんてよくできた妻だ!」なんてふんぞり返って全部を自分の手柄にしようとしていなくてよかった。
見どころ④外にもおかめ像が

本堂の外にもおかめさんの石像があります。オカメザクラの方を向いています。

そうそう、節分の日には、おかめの面をつけて踊るお祭りがあるのだとか。
見どころ⑤ネコちゃんがいる
お寺の歴史とは関係ないのですが、雨宿りしているネコちゃんがいました。

カメラをむけるとポーズをとってくれます。イイコだね。

ネットでこのお寺の口コミを見ていたら、同じネコちゃんを目撃している人が数人いました。このネコちゃんにはかなりの確率で会えるんじゃないかな。
音もなく静かなお寺の中で、緑の匂いに包まれ、ネコちゃんを見るという、とても優雅なひとときを過ごせました。
大報恩寺(千本釈迦堂)に行こう
こんな感じで大報恩寺(千本釈迦堂)の見どころを紹介してみました。
閑静な住宅地にある、緑に囲まれたお寺。
でも一歩入るとその中には国宝と呼ばれるお堂があって。
ひんやりとした薄暗い宝庫のなかには秘密の仏像が!
こう考えると、そのコントラストにも神秘さにもドキドキしてきませんか?
いやー、ついに私にも「京都で推しのお寺」ができるとは。
次はご本尊をぜひ見てみたいです。ネコちゃんも会いたいです。
アクセス
〒602-8319 京都府京都市上京区溝前町
営業時間
9:00~17:00
拝観料
大人600円
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