【岐阜】なんだこりゃ?「内藤記念くすり博物館」がキモ面白かった

岐阜

健康で長寿を全うしたい。それは人類の永遠の願いです。

昔の人は、病気から身を守り、健やかに暮らすためにどんなことを考えていたのでしょうか?

それを学ぶことができるのがここ「内藤記念くすり博物館」です。

健康にまつわる信仰から昔の製薬道具、近代の医薬まで、幅広い資料が展示されています。

なかにはギョッとするような展示品もあり、医療にあまり興味がない私でもかなり楽しめました。

レトロ雑貨や、日本美術などが好きな人にも楽しめると思います。

内藤記念くすり博物館の外観

「内藤記念くすり博物館」は、展示室のほかに植物園薬草園図書館が併設しています。

アルコール消毒をして館内に入ったら、すぐ左手が受付。

体温を計って、住所や氏名を記入します。

くすりの博物館っていうだけで衛生面に対する信頼度が上がりますね。

  • 1階は常設展示
  • 2階は常設&企画展示

企画展は「日本人を苦しめた感染症と新型コロナウイルス感染症」が行われていました。
※年にいちどテーマが変わるそうです

白沢(はくたく)がキモカワイイ

展示館に入ってすぐ目に入るのがこちらの…こちらの、なんだかよく分からない像です。

これは「白沢(はくたく)」という古代中国の想像上の神獣。

6本の角、9個の目を持ち、人の言葉を理解し、病気や災難を防ぐ力があると信じられてきました。

江戸後期にコレラが大流行したころ、人々は白沢の絵を病人の枕元に置いて、病魔退散を願ったそうです。

ほかにも、

  • 枕元に白沢の絵を置くと怖い夢を見ない
  • 白沢のお守りをもっていると、旅行中の災難や病気を免れる

などの力を持つと言われていたそうです。

髭の生えたオッサンの顔に6つの角、9つの目という異様な形相ゆえ、アマビエのようにグッズ展開されることはなさそうですが、私は好きです。

健康にまつわる信仰いろいろ

絵馬

馬は昔から神聖なものとされていました。

昔は神様への祈願、感謝の気持ちを表すために神社に馬を奉納していたそうです。

それがやがて板に願い事の絵をかいて奉納するようになったのが「絵馬」のはじまりのようです。

今は願い事を文字で書くのが一般的ですが、昔は「願い事に関係する絵」を描くのが普通だったようです。

大根の絵は、美白祈願。

天狗は厄除け👺

そしてなぜか、相撲の絵は「美白祈願」だそうです。

医薬の神様「神農」

神農(しんのう)」は商業の神、医薬の神として崇拝されました。

2本の角と、手に持った薬草、葉っぱのマントが特徴です。

可愛い。

東洋医学の伝来

このコーナーがいちばん面白かったです。

東洋医学では、人間の生命現象を「気」というエネルギーの法則で考えていました。
「経路」という気の通り道、「経穴(ツボ)」という気の窓口を発見して病の治療に応用しました。

経路図の原本

明道鍼灸之図

世界中に現存する経路図(血の流れる通路を示したもの)のなかでも最も古いタイプ。

1474年の原本だそうです。すごい。

経路人形が怖い

経絡人形

ちょっとキモい……。

別バージョン。木箱の中に入れられた貴重なものです。

ヘルレイザーみたいだね。

五臓六腑が描かれた図

内景之図

五臓六腑が描かれた図。

日本で初めて人体の解剖が行われたのは鎖国後の1759年。

死刑囚の死体を解剖しその図をまとめたのが「蔵志」とよばれる書です。

それまでは人間の解剖は死者を冒涜する、として行われなかったそうです。

サルの頭の黒焼きがありました

植物・動物・鉱物などあらゆるものが薬として用いられました。

現在でも医薬品として用いられています。

  • (左)インドサイの角。解熱・鎮痛・解毒に
  • (中)カエルの分泌液を乾燥させたもの。いわゆるガマ油
  • (右)オオヤモリ。強壮・強精に

サルの頭の黒焼き。頭痛に

ダイオウ。健胃剤として

アサガオ。利尿剤として

ヒガンバナ。浮腫に

ヤクヨウニンジン。消化不良・強壮に

薬の販売に関する展示

江戸時代からは大都市に薬屋ができ、さまざまな薬が販売されるようになりました。

再現!明治時代の薬屋の店先

明治時代の薬屋が再現されています。

生薬を入れた袋の形をした看板。この看板のある店は薬屋であるとひとめで分かったそうです。

店内には金ぴかの看板。

看板が大きくて立派であるほど、「信頼のある老舗である」という権威を示していたそうです。

金箔に墨文字のコントラストが美しいですね。

ネズミやかび除けの為、薬袋は天井からぶら下げます。

「と」と書かれた箱は、物入として使われました。

レトロ可愛い手提げ袋

瓶入りの薬を入れて配達するための丈夫なズック製の袋。製品名が印刷されています。おしゃれ!

薬だけではなく、お醤油やお酒もこの形の袋に入れられて販売されていたようです。

(ヤフオクで売ってました。「通い袋」と検索したら出てくる)

これまた可愛い、配置薬入れ

薬を保管するための箱です。

年に1度、薬屋さんが家庭に訪れ、薬を置き、翌年に使った分だけの代金を支払うというシステム。

雪深い山村や人里離れた地方に住んでいる人々にとって配置売薬は心のよりどころだったそうです。

こんなイケメンが配達してくれるそうです

正露丸?征露丸?

薬の看板のコーナー。

こちらは正露丸の看板。「征露丸」と書かれています。

正露丸は日露戦争の軍薬として使用されていたそうです。

当時は「ロシアを征する」という意味の「征露丸」でしたが、戦後に「正露丸」に改名しました。

「ウルユス」という謎の薬の看板。

ウルユスは江戸時代に発売された最初の西洋風の名前の薬で、そのカタカナを合わせると「空ス」となり、一種の下薬だったと考えられています。

「ウルユス」は、昭和初期に市場から無くなったそうです。

蘭方医学の伝来

鎖国令によって海外との交流が途絶えた日本。

そんな中、西洋の国で唯一オランダだけが貿易を目的とする来航が認められました。

長崎は開かれた唯一の西洋との窓口となり、それまで中国医学オンリーだった日本の医学に新しい風を吹き込みました。

世界初の麻酔手術を行った日本人

華岡青洲

麻酔を用いた手術を世界で初めて行ったといわれる人物。

その陰には肉親が麻酔の実験に参加するという苦労もあったそうですが、彼は手術による治療を大きく前進させました。

そんな青洲が自分の信念を示し、人生観を詠んだポエム。

つましい暮らしが自分に適している。どうして馬や高価な着物を望もうか。ただ望むのは人々の命を救い、助ける医術のことだけである」と書かれています。かっこよすぎる。

薬を入れる雑貨

印籠

薬を入れて腰に下げるもの。

お金持ちは芸術的にも優れたものを身に着けたそうです。

印籠と言えば、モデルの冨永愛さんがVOGUEチャンネルで小田原のういろうを紹介されていました。

万能薬と言われる小田原のういろう、気になりますね。

薬を入れるたんす

百味箪笥(ひゃくみだんす)

生薬を保管するためのタンス。引き出しには生薬の名前が書かれています。

たくさんの小さな引き出しがついていて、使いやすそうですね。

昔のマスク

明治12年に「呼吸器」として売り出されたのがはじまり。

大正8年にインフルエンザが広がったころに「マスケ」⇒「マスク」として広く知れ渡りました。

セルロイド製のものもあります。

広告がカッコいい。

結核の感染拡大防止ポスター

結核の感染経路、感染する誘因などがイラスト付きで分かりやすく書かれたポスター。

咳をするときは布を口に当てましょう、などと書かれています。

本館2階・3階の展示

本館2階には、エーザイの薬品が並んでいました。

3階は社史コーナー。あんまり面白くない。

有毒植物コーナーがありました

展示を見終わった後は、バスの時間まで薬草園をブラブラ。

ここでは約700種類もの薬草を育てているそうです。

そのなかにフェンスで仕切られた「有毒植物コーナー」を発見。

トリカブトやチョウセンアサガオなどの、日本で生息する有害植物が保護されています。

誤って食べると最悪死に至るという、ミステリ小説などで登場するやつ。

生で見てみたかったのですが、フェンスの中に色々な植物が生えていてどれがどれだかよく分からなかったです。

「有害植物コーナー」以外にも危険なヤツがひっそりと紛れ込んでいました

「コロシントウリ」という種類で、食べると下痢になるとか……。ちっちゃいスイカだと思った。

植物って意外と恐ろしいですね。

内藤記念くすり博物館へ行こう!

こんな感じで「内藤記念くすり博物館」を紹介してみました。

ひさしぶりに大当たりというか、大満足のいくスポットでした。

アジアの文化(特に日本と中国)や、昭和の雑貨が好きなじぶんにとっては展示内容がいちいちツボにはまってくる感じでした。

予想外に物欲を刺激されてしまい、帰りのバスではヤフオクで骨董品を調べまくる人になった。

アクセス

博物館へのアクセスは、「各務ヶ原市役所駅前」から「ふれあいバス」で行くのがおすすめ。

バスの乗車時間は30分ほどかかりますが、片道100円なのでとてもお得です。

博物館の目の前に停車するので楽チン!

▶内藤記念くすり博物館公式サイトでアクセス情報を見る

ふれあいバスは本数がかなり少ないので時刻表を必ずチェックしておきましょう。

〒501-6195 岐阜県各務原市川島竹早町1

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営業時間・定休日

9時30分~16時00分

日曜&月曜日 定休

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